近年クローズドキャプションに興味を持つ方も多くなってきています。日本では平成初期から聴覚障害者向けにクローズドキャプションが登場し、2024年4月には「合理的配慮の義務化」により、映像事業には必須のサービスとなりました。
この記事ではクローズドキャプションの詳細や、需要が高まっている背景を解説します。クローズドキャプションを学ぶ方法もご紹介するので、これから映像業界で活躍したい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
クローズドキャプションとは?
クローズドキャプションは聴覚に障害を持つ人が映像を理解するためのツールです。ここではクローズドキャプションについて以下の視点から解説します。
- クローズドキャプションは、音声が聞こえにくい人のためのツール
- オープンキャプションとの違いは、表示するか視聴者が選べること
- 字幕との違いは、セリフだけでなく詳細な場面解説も表示すること
- クローズドキャプションが有効活用される生活の場面
- テレビや動画配信でクローズドキャプションを表示させる方法
クローズドキャプションは、音声が聞こえにくい人のためのツール
クローズドキャプションは1970年代にアメリカで生まれました。音声が聞こえにくい人でも、映像を理解できるようにするのが目的です。現在では音声が聞き取りにくい環境や、音を出せない環境で映像を流す際にも使われています。
クローズドキャプションはテレビやDVDおよびブルーレイ、動画配信サービスなど、幅広い映像メディアで活用されているのが特徴です。しかしライブ映像でリアルタイムに出力されるクローズドキャプションや、動画配信サービスで自動生成されるクローズドキャプションは、正確性に欠ける傾向があります。
古い映像作品やローカルテレビ番組へのクローズドキャプション付与も進んでいません。クローズドキャプションの制作技術は、今後もさまざまな場面で必要とされるスキルです。
オープンキャプションとの違いは、表示するか視聴者が選べること
クローズドキャプションとオープンキャプションの大きな違いは、表示するかしないかの選択権が視聴者にあることです。クローズドキャプションは視聴者が必要に応じてオン・オフを切り替えられる機能があります。オープンキャプションは常に表示され、視聴者には消せません。
オープンキャプションの目的は、すべての視聴者に対して確実に情報を伝えることです。そのため映像そのものに直接文字を入れてあり、視聴者は操作できないようになっています。オープンキャプションは広告やプロモーションビデオ、劇場版の映画などに利用されるのが一般的です。
クローズドキャプションは利用する場面や人物が限定的であるため、視聴者が表示するかどうか選べるように設計されています。音が聞こえにくい視聴者や音を出せない視聴環境をターゲットとして想定しているので、オープンキャプションとは違った配慮が必要となります。
字幕との違いは、セリフだけでなく詳細な場面解説も表示すること
クローズドキャプションはセリフだけでなく、場面解説も表示するのが特徴です。
字幕は主に翻訳や言語理解を目的としています。そのため外国語の映像を理解しやすくするために、映画やテレビ番組の対話やナレーションに対応させて表示するのが一般的です。具体的には英語の映画に日本語の字幕を表示する際などに使われます。
クローズドキャプションは、音が聞こえなくても映像を理解するためのツールです。そのため対話やナレーションだけでなく、効果音や環境音、音楽など、映像の理解に必要な音声情報を文字で表示します。それぞれの想定している視聴者や視聴環境の違いが、表示内容の違いとなって現れています。
クローズドキャプションが有効活用される生活の場面
クローズドキャプションは以下のような場面で活用されています。
- 音声が出せない電車内のCM広告、運行状況案内
- 家族が寝静まって大きな音が出せない状況でのテレビの視聴
- 職場の休憩時間でスマートフォンによる動画の視聴
- 長距離バスや飛行機内などでの映像放送
- 外国語の勉強のために字幕を利用したオンライン学習
生活の中のさまざまな場面や目的に応じて、クローズドキャプションは使用されています。
テレビや動画配信でクローズドキャプションを表示させる方法
テレビでクローズドキャプションを表示させたい場合は、リモコンの字幕ボタンを押せば表示できます。テレビに表示される設定画面で、字幕が「入」になっていれば切り替え完了です。ただしクローズドキャプションに対応していない番組では、表示されないので注意してください。
その他の動画配信サービスでは、サービスごとにクローズドキャプションの表示方法が異なります。YouTubeやAmazonプライムであれば、動画内の「CC」アイコンからの設定が可能です。
合理的配慮の義務化で高まるクローズドキャプションの需要
日本では1990年代に、聴覚障害者のためにクローズドキャプションの研究が始まりました。しかし当初はクローズドキャプションを使うには専用の機器が必要だったため、あまり普及しなかった背景があります。
現在では障害者向けの法整備が進んでおり、今後もクローズドキャプションの需要は高まる一方です。ここでは近年高まるクローズドキャプションの需要を、時系列を追って解説します。
- 1997年に放送法が改正!聴覚障害者向け番組の放送が努力義務化
- 2003年の地上波放送のデジタル化により、日本のテレビ業界で広く普及
- 2024年4月より、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化
1997年に放送法が改正!聴覚障害者向け番組の放送が努力義務化
1997年の放送法改正から、日本でクローズドキャプションの普及が進んできました。聴覚障害者向け番組の放送が努力義務化され、多くのメディアが対応を迫られたからです。テレビジョン放送事業者は字幕番組や解説番組をできる限り多く設けるよう求められました。
放送法改正の背景には、情報格差の縮小を目指した情報のバリアフリー化があります。より多くの人々が平等に情報を得られるよう、環境の整備が進められました。
クローズドキャプションの普及により聴覚障害者が情報を得る機会は増え、社会参加の促進につながっています。
2003年の地上波放送のデジタル化により、日本のテレビ業界で広く普及
2003年の地上波放送のデジタル化により、多くの放送局が字幕対応番組を増やしていきました。放送データのデジタル化により、字幕情報を追加することが技術的に容易になったからです。
総務省の報告によると、字幕番組の割合は2003年以降着実に増加しています。NHKの総合テレビでは字幕放送の割合が2009年には100%に達し、民放キー局でも89%に達しました。2010年からは字幕付きCMの運用も実施されています。
技術の進展により課題は徐々に解決され、より多くの場面でクローズドキャプションが普及しているのが現状です。
参考:平成26年1月30日 総務省 情報流通行政局 字幕付きCMに関する現状等
2024年4月より、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化
2024年4月1日から、事業者に対して障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。企業や団体、個人事業主などすべての事業者へ、障害のある人が社会的な障壁を取り除くために必要な対応を求めるものです。「合理的配慮の提供」には、過度な負担を伴わない範囲での対応が求められます。
「合理的配慮の提供」が義務化され、クローズドキャプションの需要は一層高まります。クローズドキャプションは聴覚障害者や難聴者にとって、情報を得るための重要な手段です。クローズドキャプションの普及が遅れている分野では、早急な対応が求められるでしょう。
例えば地方のローカル放送局では、技術的および財政的な制約からクローズドキャプションの導入が遅れている傾向があります。個人事業主であれば、ローカル放送局以上にクローズドキャプションの導入に頭を悩ませているかもしれません。現在の映像制作現場では、クローズドキャプションの制作ノウハウは必要不可欠となっています。
参考:内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化
クローズドキャプションを学ぶならワイズ・インフィニティがおすすめ
映像業界で需要が高まるクローズドキャプションを学ぶのであれば、ワイズ・インフィニティがおすすめです。クローズドキャプションを学ぶのに最適な環境をご用意しています。ワイズ・インフィニティでクローズドキャプションを学ぶのがおすすめな理由は以下の通りです。
- 実際の制作現場で役立つテクニックが習得可能
- 個別レッスンで案件獲得のためのトライアル対策にも対応可能
それぞれ解説します。
>>ワイズ・インフィニティのクローズドキャプション講座を見てみる<<
実際の制作現場で役立つテクニックが習得可能
ワイズ・インフィニティのクローズドキャプション講座では、制作の現場で役立つテクニックを習得できます。講師による講義を受けるだけでなく、実際の課題制作により手を動かせるからです。
クローズドキャプションのルールや基本操作の理解から、実践的な演習によりプロの制作過程まで体験できます。課題に対する個別のフィードバックにより、スキルの着実な向上が可能です。
ワイズ・インフィニティでは講師の実績も公開しています。クローズドキャプションの現場で活躍するプロの講師陣から、制作現場で使えるノウハウを学んでみてください。
個別レッスンで案件獲得のためのトライアル対策にも対応可能
グループレッスン修了者向けに、個別レッスンの申し込みを受け付けています。マンツーマンでのフォローにより、受講者それぞれの個別の課題に対応可能です。
クローズドキャプションの仕事を受けるための、トライアル対策も行えます。トライアルに合格した制作者だけが案件を受けられるので、個別に指導を受けるのがおすすめです。
トライアル対策の他にもグループレッスンのおさらいや、不安な部分の重点的な指導も受けられます。より深くクローズドキャプションのスキルを身に着けたいのであれば、個別指導も検討すると良いでしょう。
まとめ:需要が高まるクローズドキャプションをマスターしよう
クローズドキャプションの詳細や、需要が高まっている背景を解説しました。クローズドキャプションは年々需要が高まっています。特に障害者への「合理的配慮の提供」が義務化された2024年4月からは、映像作品には必須となっています。
今後ますます需要が高まるクローズドキャプションを学ぶのなら、ワイズ・インフィニティがおすすめです。実績を持つ講師から、制作現場で使えるノウハウを習得できます。映像業界での活躍を考えている方は、ぜひ一度お問い合わせください。