
海外ドラマの字幕を見ていて、「翻訳が足りない?」「ちょっと読みにくい」と感じたことはありませんか?
デジタルコンテンツのグローバル化が進み、字幕翻訳は中国語や韓国語、英語以外のヨーロッパ言語まで広がっています。さらに動画配信サービスが拡大したことで、日常生活では様々な言語の映画やドラマが気軽に楽しめる機会が多くなり、字幕はより身近なものになりました。
では、字幕はどのようにして制作されているのでしょうか。ここでは字幕の基本的なルールや背景、文書翻訳との違いも交えながら解説していきます。普段、目にしている字幕を思い浮かべながら参考にしてみてください。
目次
字幕には文字数の上限がある
字幕は映像の音声をそのまま翻訳して、文字を入れるだけではありません。読みやすさを考慮したルールに従い、限られた文字数のなかで翻訳を行います。
一般的に字幕制作で重視されているポイントを3つご紹介します。
1秒あたりに読める文字数の目安
字幕には“1秒間に4文字”という字数制限が設けられています。人間が一度で見て理解できる文字数は限られており、視聴者がストレスなく字幕を読み切れるとされる情報量です。
そのため、読み直す必要がなく、映像の流れを止めない字幕であることが、字幕制作における大前提となります。
字幕は原則2行まで
字幕が3行以上あると映像が隠れてしまうため、原則2行までとされています。また2行の字幕にする場合、どこで改行するかによっても映像の印象が大きく変わることもあります。
あくまでメインは映像なので、字幕によって引っかかりを残さない配慮が必要です。
1行あたりの文字数
映画やドラマの場合、一般的には1行につき13文字前後が目安とされています。決まった文字数内に収めるためには、言葉選びや語尾を調整する必要があります。たった1文字違うだけで表現が変わることも少なくありません。
ただし、文字数のために原語の意味を損なってしまわないように、助詞ひとつでニュアンスを出す、別の表現に言い換える、意訳をするなどの工夫が求められます。
以上は一般的な目安ですが、テレビ放送やNetflix等の配信プラットフォームごとに、文字数や形式に関するルールが細かく決められています。そのため、視聴者が「字幕が短い」「情報が少ない」と感じる場面が生まれることもありますが、これは読みやすさを優先した結果でもあります。
字幕翻訳と文書翻訳の大きな違い

表示時間に制限がある
字幕はセリフの音に合わせて表示しなくてはならないので、読む時間が限られています。字幕は1枚、2枚と数えますが、1枚あたり最長6秒程度が目安とされているので、ひとつのセリフでも長くなりすぎないように、区切って字幕を出します。
もちろん表示時間が長ければ文字数は増えますが、必ずしも効果的だとは言えません。長い字幕が続くと間延びしてしまい、視聴者は読むのに疲れてしまうからです。反対に、短すぎる字幕が連続すると慌ただしく感じてしまうため、全体の流れやテンポも考慮して字幕を出すタイミングを決めています。
スペースに限りがある
通常、字幕の位置は自由に表示しているわけではありません。出演者の顔やテロップに字幕が重なってしまうと読みにくくなり、ストーリーにも集中できなくなってしまうので、映像全体の邪魔にならない位置を選んで表示しています。
そのため、映像によっては字幕を表示できるスペースが限られていることもあります。
文書翻訳と同じように全て翻訳しても読み切れない
登場人物のセリフをそのまますべて訳そうとすると、文字数の制限を越えて読み切れない字幕になってしまう場合が多いです。その際はやむを得ず、原語で話している情報を取捨選択し、重要な内容を優先して訳出しなければならない場面もあります。
数秒で消えてしまうのが字幕です。映像が切り替わるまでに理解できなければ、視聴者は置いていかれてしまいます。
さらに読みやすくするためには細やかな作業が欠かせません。例えば字面を整えるために漢字、カタカナ、ひらがなのバランスを調整する、映像で分かる情報は省略してより重要な内容を優先する、セリフの中に補足を自然に取り込むといった調整を行っています。他にも、句読点を使用せずにスペースを代用して文節を区切るなど、目で見て分かりやすくするための色々な工夫が必要です。
字幕が読みにくいと感じやすいケース

テロップが多い
例えば、料理番組では調理方法やポイントを口頭で説明し、珍しい食材などはテロップで補足することも多いです。バラエティ番組では、“なぜ笑いが起きているのか”を分かりやすく伝える効果もあります。
このようにテロップは場面によって役割が大きいため、字幕は欲しいところ。一方で全て翻訳してしまうと、出演者のセリフの字幕、原語のテロップ、テロップの翻訳が同時に表示され、情報過多になってしまうケースも少なくありません。
話すスピードが速い
字幕は原則として、音(セリフ)や映像の切り替わりを目安に区切ります。話者の話すスピードが速ければ、字幕の表示時間が短くなるので一瞬で消えてしまうことも。
また、実際に話している内容量に比べて、字幕が短く感じる時もあるかと思います。
会話量が多い
1人のセリフが長く、カットが変わっても話し続けるシーンがあります。この場合、区切るところによっては違和感を残してしまう可能性も。どこで区切るかによって読みやすさが左右されます。
また、数人の登場人物が一斉に話すシーン。全員のセリフを同時に出せないため、ストーリー上必要なセリフを明確にし、絞って字幕を表示しなければなりません。
以上のケースでは、字幕が読みにくいと感じてしまうことがあるので、特に映像全体を考慮した判断が必要です。
まとめ
簡潔な字幕だけでは、「もっと何か言ってるよね?」という物足りなさを感じてしまうこともあります。
字幕翻訳ではセリフや演出の意図を理解し、キャラクターの特徴や各シーン、視聴者のターゲット層に合わせて字幕を作らなければなりません。限られた文字数や表示時間のなかで、作品と、元の言語が分からない視聴者の距離を埋めるための工程は緻密であり、スキルが求められます。
ワイズ・インフィニティでは、プロの翻訳者が映像にあわせて、ストーリーと字幕の可読性のバランスをとった読みやすい字幕を制作します。アジア、ヨーロッパの多数の言語の対応も可能です。字幕翻訳についてご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。