外国語のコンテンツを日本語に翻訳する場合、最終的に完成度の高いものにするにはネイティブチェックを行うことが重要です。
しかし、実際には「語学力の高い人の翻訳であれば、ネイティブチェックがなくても十分では?」「ネイティブチェックの依頼方法が分からない」など、さまざまな疑問を持つ方もいるでしょう。
今回は、翻訳にネイティブチェックが必要な理由や、ネイティブチェックにおける重要なポイント、具体的な依頼方法などについて説明します。
“言語”だけでなく“想い”を翻訳する会社
目次
ネイティブチェックとは
そもそもネイティブチェックとは、対象言語を母国語としない人が翻訳した文書や映像字幕などを、ネイティブがチェックすることです。
例えば、日本人が日本語を英語へ翻訳した場合に、英語圏のネイティブに不自然な点がないかなどをチェックしてもらうようなケースが挙げられます。
ネイティブチェックの大きなメリットは、非ネイティブでは気付けない部分をなくし、ネイティブがよりスムーズに理解できる翻訳にできることです。ネイティブチェックは、外国語コンテンツの精度を高めるために重要な工程といえるでしょう。
ネイティブチェックの必要性
ネイティブチェックは、なぜ行う必要があるのでしょうか。
ネイティブと非ネイティブでは、やはり言語を扱う感覚が異なります。例えば英語の場合、何年も英語を勉強した日本人であっても、生まれも育ちもアメリカのネイティブが「こういう時はこう表現する」という感覚が分からないことも多々あるでしょう。
また、文法的には正しくても、ネイティブはあまり使わない言い方などもあります。
このようなことから、非ネイティブによる翻訳だと、「間違っているわけではないが、どこか違和感がある」文章になる可能性があるのです。単語や接続詞の使い方、文章のつなげ方など、本当にネイティブが使うような自然な表現にするためにも、ネイティブチェックは必須の工程といえるでしょう。
特に映画やドラマ、企業や商品の魅力を伝えるコマーシャル等の映像・パンフレットなどでは、心に響く自然な翻訳にすることが求められるため、ネイティブチェックが非常に重要です。
なお、近年ではAIや翻訳ツールなどを活用すれば、ある程度のレベルは簡単に翻訳が可能になってきました。しかし、精度には不安が残るうえ、ネイティブが思う自然な表現にできる手段とはいえません。AIや翻訳ツールを活用するにしても、最終的にネイティブチェックは実施することをおすすめします。
ネイティブチェックにおける重要なポイント5つ
ネイティブチェックは、ネイティブなら誰でもできるわけではありません。日本語と同じように、ネイティブであることと、正しく文法を活用する能力や読みやすい自然な文章を作る能力を持っているかは、別の話です。
ネイティブチェックを依頼する場合は、以下のポイントを押さえたネイティブによるチェックを受けられるところを選びましょう。
適切な校正能力
ネイティブチェックの作業は、翻訳された文章を確認し、より自然に理解しやすい文章にする作業です。そのためには、高い校正能力が求められます。具体的には、正しい文法に直す能力や、自然な文章構成に変える能力、単語の選択などさまざまな観点から校正できるかが大事です。
幅広い知識と視野
ネイティブチェックでは、文章を読んだ人が不快な思いをしないような、普遍的な表現になっているかもチェックします。一昔前では一般的に使われていた言葉が、今の時代にはそぐわないこともあります。また、何気ない言葉が現在では差別表現として扱われていることもあるでしょう。
その他、同じ言語でも国や地域によって表現に違いが見られることもあるため、幅広い知識や視野が必要とされるのです。
専門的な知識
アカデミックな文章など、内容によっては特定のジャンルに精通していることが求められます。語学力や校正能力以外にも、専門的な知識があるかどうかで、読者に理解されやすい文章にできるかは変わります。
シーン別の適切な表現力
映画やドラマの字幕、パンフレットや説明書の文章など、翻訳が行われる場面は多岐にわたります。このようなシーンそれぞれに合わせた表現ができるかも、ネイティブチェックを行う際のポイントです。
例えば、観光客向けのパンフレットでは、文化や歴史などが魅力的に伝わるような表現が求められます。一方、機器の説明書や公的な文書などでは、情報を正確に伝えられる無駄のない簡潔な表現が求められるでしょう。
柔軟な対応力
校正能力や幅広い知識など以外に、依頼者の要望に柔軟に対応できることもネイティブチェックにとって重要です。納品後に質問が出てきた場合や、表現を変えてほしい場合などに、スムーズに対応してくれる体制が整っているかを確認しておきましょう。
各地域の英語ネイティブによるチェックが重要
翻訳される言語で多いのは英語ですが、英語の種類は以下5つの地域に大別され、それぞれ特徴が異なります。翻訳したい英語の種類に合わせて、特徴を理解しているネイティブによるチェックを通すことで、クオリティをより高められます。
アメリカ英語
日英翻訳において最も多いのが、アメリカ英語です。海外ドラマやハリウッド映画、音楽など、日本人が日常的に触れるコンテンツにおいても、アメリカ英語が使われているものが多くを占めます。日本以外にも韓国や中国、フィリピン、南米諸国など、多くの地域ではアメリカ英語が主流といえます。
イギリス英語
イギリスを日本語で「英国」と書くことからも分かるように、イギリスは英語の本場であり発祥の地です。イギリスがかつて、植民地政策で世界中に領地を持っていたことが大きく影響し、現在でも多くの国でイギリス英語が話されています。
よくアメリカ英語との発音やイントネーションの違いが注目されますが、同じ単語でも以下のようにスペルが若干異なるなどの違いもあります。
- 色:color(アメリカ英語)/colour(イギリス英語)
- 劇場・映画館:theater(アメリカ英語)/theatre(イギリス英語)
アメリカ英語に次いで翻訳されることが多いのは、イギリス英語です。
カナダ英語
カナダはアメリカの隣国であることから、基本的にはアメリカ英語に近いといえますが、ボキャブラリーや、スペルなどはイギリス英語の用法が混ざっていることが特徴です。また、ケベックなど一部の地域はフランスの植民地であったため、フランス語の影響を受けている側面もあります。
オーストラリア英語
オーストラリアはイギリスの植民地だったため、オーストラリア英語もイギリス英語が土台となっています。さらに、先住民族であるアボリジニが話す言葉の影響も受けているため、オーストラリア英語に慣れ親しんだ人にしか分からない表現もあるでしょう。
シンガポール英語
シンガポールは、公用語がマレー語・英語・中国語・タミル語と4つもある、多言語国家です。多様な人種や文化が入り混じっているため、シンガポールで話される英語は独特の発音や言葉の使い方が特徴的です。シンガポール独自の英語という意味合いから、「シングリッシュ(Singlish)」と呼ばれることもあります。
ネイティブチェックの依頼方法
具体的にネイティブチェックを依頼するには、どのような方法があるのでしょうか。
知人に依頼する
ネイティブの知人に依頼する方法です。依頼のハードルは低いといえますが、ネイティブであったとしても校正能力がどれほどあるかは把握しにくく、クオリティは担保されません。
また、納期が守られにくい・不満点を伝えにくい・情報漏洩のリスクがある、などのデメリットも理解しておくべきでしょう。
フリーランスの翻訳者に依頼する
クラウドソーシングサービス上や、インターネット上で案件を受注しているフリーランスのネイティブ翻訳者に依頼する方法です。相性やクオリティなど、諸条件が合う人材とマッチングできれば、コストを抑えながらも良質な成果物が期待できます。
ただし、トラブルが起こった時に責任の所在が不明確であること、また知人の場合と同様に情報漏洩のリスクもあることなどがデメリットです。
翻訳会社に依頼する
クオリティ面で最も信頼できるのが、翻訳会社です。専門の翻訳会社であれば、校正や翻訳に精通したプロによるネイティブチェックをしてもらえます。英語一つをとっても、アメリカ英語やイギリス英語など、各地域の英語にも対応しているところもあります。
また、英語以外の言語にも対応している会社であれば、言語によって依頼先を変える必要もありません。
相応のコストは必要になりますが、高いクオリティは担保されるうえ、情報セキュリティの面でも信頼できる点は大きなメリットです。
まとめ
ネイティブチェックとは、非ネイティブが翻訳した文書や映像字幕などを、ネイティブがチェックすることです。心に響くような魅力的な翻訳にするには、ネイティブチェックを通し、本当にネイティブが使うような自然な表現にすることが重要といえます。
ただし、ネイティブであれば誰でもチェックできるわけではなく、高い校正能力や幅広い知識や柔軟な対応力などを備えた人に依頼することが望ましいでしょう。そのため、ネイティブチェックを依頼する際は、専門の翻訳会社への依頼がおすすめです。
翻訳のネイティブチェックを翻訳会社に依頼する際は、ぜひワイズ・インフィニティにお任せください。ワイズ・インフィニティでは、映画やドラマ、企業様のPR動画など、さまざまな分野での翻訳の実績があります。
また英語以外にも、韓国語・中国語・タイ語・タガログ語などのアジア言語から、フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語などのヨーロッパ言語まで幅広く対応しています。
クオリティの高いネイティブチェックをご希望の場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
“言語”だけでなく“想い”を翻訳する会社