吹き替え翻訳とは?制作の流れや制作会社の選び方

映像翻訳の制作について、「吹き替え翻訳が気になっているけれど、事前に特徴や強みを知ってから検討したい」と考えている方は少なくないのではないでしょうか。

加えて、「吹き替えのおもな利用シーンを知って、自身の映像に適しているか参考にしたい」「制作の流れを把握しておきたい」という方もいるかもしれません。

今回は、吹き替え翻訳について、その特徴やおもな利用シーン、吹き替え制作の流れについて解説します。合わせて、吹き替え翻訳を制作会社に依頼する際の事前準備やポイントについても紹介します。

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吹き替え翻訳とは

「吹き替え翻訳」とは、映像内の原語の音声をターゲット言語で翻訳した音声に差し替える翻訳手法です。

別の翻訳手法である「字幕」は元の音声を残したまま翻訳を文字で画面上に表示させ、「ボイスオーバー」は原語を小さな音声で残したうえで、翻訳した音声を重ねます。そのため、元の原語の音声を残さないのは吹き替えならではの特徴といえるでしょう。

吹き替え翻訳は、字幕のように翻訳を画面上に表示させる必要がないため、翻訳の文字数制限などがなく、必要な情報量を確保しやすい点が強みです。また、視聴者側にとっても、映像を見ながら翻訳を目で追う必要がないのがメリットといえます。

ただし、吹き替え翻訳では録音スタジオやナレーター、声優などの手配など字幕にはない工数を経る必要がある点に留意すべきです。

「吹き替え」のおもな利用シーン

例えば、映画やドラマは、吹き替え版が制作される機会が多いといえます。その他、企業のコマーシャル・消費やサービスのPR動画、イベント用映像などでも吹き替えが活用されるケースは少なくありません。

また、吹き替え翻訳の対象になるのはインタビュー音声や対話、映画やドラマのセリフだけでなく、ドキュメンタリー作品などの「ナレーション」も含まれます。

ナレーションとは、映像の状況や背景、登場人物の心理などを解説するもので、「語り」とも呼ばれます。また、ナレーションは文語調が多い点も特徴です。

ナレーションと出演者のインタビューなどのセリフが混在する映像の場合は、まずナレーション部分のみ吹き替えで制作します。

そのうえで、その他の出演者の台詞をボイスオーバーで処理するなど、吹き替えと別の手法を組み合わせて処理するケースもあります。

吹き替え制作の流れ

次に、吹き替え制作はどのような流れなのか見ていきましょう。吹き替え制作は、以下のような流れで進行するのが一般的です。

①ヒアリングおよび動画の受領、チェック作業

②翻訳スタッフ、吹き替え声優の選定

③制作(音声起こし、翻訳、台本制作 など)

④吹き替え台本の確認(制作会社→顧客)

⑤録音作業、編集、調整

⑥納品

①ヒアリングおよび動画の受領・チェック作業

希望の納期や内容、予算などのヒアリングを行ったあと、具体的なスケジュールや費用が確定しだい翻訳する動画を受領します。受領後は、映像などに問題がないか確認作業を行います。

②翻訳スタッフ、吹き替え声優の選定

映像の内容に対応できる知識を持った翻訳スタッフや、希望の仕上がりイメージに適した吹き替え声優を選別し確定します。

③制作(音声起こし、翻訳、台本制作 など)

映像と原語の台本をもとに、台本形式で翻訳を行います。原語の台本が無い場合は、原語の音声を書き起こすことから始めます。

④吹き替え台本の確認(制作会社→顧客)

必要に応じて、完成した吹き替え台本を一度顧客に提出し、問題箇所がないか確認を行います。要望と異なる箇所が見つかった場合は、修正作業を経てから次の工程へ移ります。

⑤録音作業、編集、調整

台本が確定したら、声優による録音作業を行います。その後、録音した音声を元の映像に編集し、細かい部分を調整したら完成です。

⑥納品

完成した映像を、顧客の希望する形式に整えて納品します。

制作会社に吹き替え翻訳を依頼する前の準備

制作会社に吹き替え翻訳を依頼する際、「依頼する前に何かしておくべきことはあるのだろうか?」と気になる方も少なくありません。

必ずしも準備しておかなければならないというわけではありませんが、備えておくことでよりスムーズに制作が進行する場合があります。

ここでは、制作会社に吹き替え翻訳を依頼する前にしておくとよい準備について、4つ紹介します。

予算を決める

まず、吹き替え翻訳にどのくらいまで費用をかけるか、大まかな目安を決めておきましょう。細かい金額を決める必要はなく、上限を設定するだけでもおすすめです。

吹き替え翻訳の費用は、制作会社によって異なるほか、サービス内容によっても変動します。予算をあらかじめ決めておくと、制作会社を選ぶ際の基準になるうえ、サービス内容の取捨選択がしやすくなります。また、依頼後も打ち合わせがスムーズに進むメリットも期待できるでしょう。

納期やスケジュールの目安設定

吹き替え翻訳の依頼を検討することが決まったら、予算と同様に大まかな希望納期や制作スケジュールを設定しましょう。

例えば、いつまでに制作会社を選び発注を依頼するか、いつまでに完成した翻訳映像が必要かを軸に決めるのがおすすめです。映像が必要なタイミングから逆算して考えることで、適切な納期を設定することができるでしょう。

また、制作会社や依頼内容によって発注から納品までの期間は異なるほか、年末や繁忙期など、特定の時期は制作会社への依頼が増加するケースも少なくありません。そのため、できるだけ早めかつ余裕のあるスケジュールを組むようにしておきましょう。

原稿

ドラマ・映画の台本やナレーションの原稿などがあれば、映像と一緒に提出するとよいでしょう。データで提出するのがより理想的とされます。

専門用語や独自性の高い用語などが多用されている映像の場合は、台本や後述する参考資料と合わせて用語集なども提出し共有するとよいでしょう。吹き替えで使われる単語がばらついてしまうのを防ぎ、統一感を出すことができます。

参考資料

翻訳の品質は、担当する翻訳者の知識レベルによって変わります。翻訳を行う前、翻訳者は映像ジャンルや映像の内容に関連する情報収集をすることで、知識レベルを補強していきます。

従って、発注や打ち合わせの際にあらかじめ映像に関する参考資料を準備しておくことが重要となります。映像と一緒に資料が提示されることで翻訳に役立てることができるため、翻訳の品質に良い影響を与えることができるでしょう。

制作会社を選ぶ際の5つのポイント

最後に、吹き替え翻訳の制作会社を選ぶ際にチェックしたいポイントについて5つ紹介します。どのような基準で制作会社を選ぶべきかわからない方は、ぜひ以下のポイントを参考にしてみてください。

吹き替え翻訳の実績の有無

依頼を考えている映像の言語に対応しているか、吹き替え翻訳の実績があるかどうかをチェックしましょう。例えば、制作会社のサイトや資料から対応可能言語の種類を確認するのがおすすめです。

また、映画やドラマ、PR映像、対談映像など、吹き替え翻訳映像の種類は多岐にわたります。そのため、制作を依頼しようと検討しているコンテンツの分野やジャンルの対応実績があるかチェックするのはもちろん、必要に応じて直接制作会社に問い合わせてみるのもよいでしょう。

制作フローが明確かどうか

例えば、原稿の完成や発注側へのチェックはどのタイミングなのか、仮納品はいつなのか、納期はいつなのかなど、制作フローが明確に決まっている制作会社を選ぶのがおすすめです。

制作フローやスケジュールがあいまいな制作会社の場合、どのタイミングでチェックや仮納品となるのかがわからなくなる恐れがあります。加えて、進行次第では本来使用したいタイミングに映像が間に合わなくなる恐れもあるため注意しましょう。

また、制作フローに関して「途中確認がしたい」などのこだわりがある場合は、あらかじめ打ち合わせなどを経て希望通りの対応が可能かどうか確認したうえで判断するとよいでしょう。

加えて、「落ち着いた雰囲気を演出したい」「くだけた口調の翻訳が良い」といった仕上がりの希望イメージがある場合は、合わせて聞いてみるのがおすすめです。

費用

費用については、前述した予算をもとに、複数の制作会社から見積もりを取って比較検討するとよいでしょう。その際、映像のジャンルや仕上がりイメージ、翻訳元言語など、依頼内容を可能な限り細かく伝えると、実際の費用に近い見積もりになります。

また、見積もりを比較検討する際は、費用の安さや納期の早さのみに注目するのではなく、あくまでサービス内容が依頼内容に見合うか、希望が叶えられるかを重視すべきです。

翻訳の正確性

翻訳の正確性は、映像の内容が正しく伝わるかどうかにも大きく影響するため、必ずチェックしておきたいポイントといえます。

例えば、映像の吹き替え翻訳をチェックするのは、翻訳者や校正者、原語のネイティブスピーカー、素材の内容の専門家など多岐にわたり、それぞれのチェック項目も異なります。

翻訳の正確性は、制作フローやサービス内容において、上記のような担当者によるチェック体制がきちんと敷かれているかを確認することで見える場合があります。ただし、チェックが増えるほど時間がかかるため、希望納期とのバランスも留意しておくとよいでしょう。

問い合わせなどの対応の質・相性

問い合わせ時や見積もりを依頼した際の対応やスピード感、質、依頼に対する提案内容なども、制作会社を選ぶうえでのポイントとなります。

希望イメージに応えてくれるのはもちろん、希望により沿いつつより良い提案を行ってくれる会社や、打ち合わせが円滑に進む会社などは、相性が良いと判断できるでしょう。

加えて、こちらの翻訳や映像に関する質問に対して、迅速かつ的確な回答を得られるかどうかも重視すべきです。

まとめ

今回は、吹き替え翻訳の概要やおもな利用シーン、吹き替え翻訳を制作会社に依頼する際の事前準備や制作会社選びのポイントについて解説しました。

制作会社に吹き替え翻訳を依頼する場合は、今回紹介したポイントを踏まえながら選定することで、より希望の仕上がりに近い翻訳映像を確保することができるでしょう。

また、映像翻訳を手掛けるワイズ・インフィニティでは、「想いを伝える翻訳」を強みに、ドラマやドキュメンタリー作品、PR動画など、あらゆる分野の吹き替え翻訳を行っています。さらに、記事内で紹介した原音を残して翻訳音声を重ねる「ボイスオーバー翻訳」のサービスもご用意しています。

各種アジア言語・ヨーロッパ言語の翻訳に対応、キャストやスタジオの手配、収録、完パケ制作にも対応しておりますので、吹き替え翻訳をお求めなら、ぜひお気軽にご相談ください。

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