中国語で簡体字と繁体字はどう違うの?北京語や広東語とは?
最近では中華圏から多くの観光客やビジネスパーソンが日本を訪れています。そして、商業施設や近所のスーパーなど街中で、中国語を耳にする機会も増えていますね。私たちと同じような漢字を使っているのに、聞こえてくる中国語は日本語とは違っていて、不思議な感じがします。中国、香港、マカオ、台湾などの中国語が公用語になっている国や地域でも、話し言葉や書き言葉に違いがあり、大きく分けて簡体字と繁体字の2つがあります。この記事では、中国語と簡体字と繁体字、そして方言について紹介していきます。
目次
書き言葉の簡体字と繁体字
中国語には簡体字と繁体字の2つの書き言葉があります。中国の歴史とともに発展してきた書き言葉の、由来と特徴を見てみましょう。
簡体字
簡体字は主に中国本土、シンガポール、マレーシアで使用されています。1950年代に中国本土で文字簡略化が進み生まれた字体です。
由来
中国本土では1964年に漢字簡略化法案の成立により「簡略化総表」が交付され、正式な「簡体字」が誕生しました。
一般大衆の識字率向上を目的としていて、
- 漢字の総数を削減して記憶する負担を減らす
- 画数を減らして書く速度を上げる
- 発音が同じで画数の少ない文字に統一する
などといったことが目指されています。
ピンインとは
日本語にはひらがなとカタカナがあり、それぞれ漢字に変換できます。中国語にもピンインと呼ばれる表記法があり、こちらを漢字に変換しています。ピンインは中国語の発音を、ローマ字と音の高低変化の記号で表したものです。中国政府が認可している表記システムで、同時に中国語を正しく発音するために必要なものです。中国語入力ではピンインの音の記号は入力不要で、ローマ字入力で漢字に変換することができます。
例えば
- 日 本 rì běn
- 广东语 guǎng dōng yǔ
- 台 湾 tái wān
繁体字
簡体字と対比されるのが繁体字です。画数が多いのが特徴で、台湾、香港、マカオで使用されています。香港や台湾の看板は繁体字が使用されているものが多く独特の雰囲気がありますね。
由来
繁体字は、約3300年前に中国の殷王朝で神事に使用されていた甲骨文字が起源です。そして、清末期に使われていた漢字が基本となり現代の繁体字になりました。1964年に中国本土で簡体字が誕生したのですが、台湾、香港、マカオでは、中華人民共和国の行政権が及ばなかったため、従来の繁体字が現代まで使われ続けています。
繁体字は画数の多い複雑な字体が含まれる伝統的な漢字です。
- 台 湾:台 灣
- 広東語:廣東語
台湾のボポモフォ
台湾では「ローマ字+記号」のピンインではなく、「ボポモフォ」と呼ばれる古来からの注音符号を用います。「ボポモフォ」は日本語の五十音のような表記法で、台湾では子供の頃から学校でこの表記を使い、漢字の読み方を勉強しています。そして、パソコンやスマホで入力する際も、「ボポモフォ」を使っています。
日本語 | 簡体字 | 繁体字 | ボポモフォ |
日 本 | 日 本 | 日 本 | ㄖˋㄅㄣˇ |
広東語 | 广东语 | 廣東語 | ㄍㄨㄤˇㄉㄨㄥㄩˇ |
台 湾 | 台 湾 | 台 灣 | ㄊㄞˊㄨㄢ |
マカオ | 澳 门 | 澳 門 | ㄠˋㄇㄣˊ |
話し言葉の中国語(標準語)と北京語/広東語/台湾華語(閩南語)
中国の標準語は「普通話(pǔ tōng huà)」と書いて、ピンイン(ローマ字)読みでプートンファと呼ばれています。中華人民共和国が定めた民族共通語で、日本でNHK(全国)が放送で使用する言葉と同じ意味合いがあります。日本の26倍の領土を持つ広大な中国では、他にも地域により大小の方言が使われています。地域のテレビ局では高齢者にも聞き取れるようにと、地元の方言で放送をしています。では、標準語以外で有名な北京語/広東語/台湾華語(閩南語)について少し紹介しますね。
①中国語(標準語)
北京語の発音や官話方言の文法と、北方の語彙を標準として作られた民族共通語で、中国の学校で使用されています。現在では高齢者を除き、中国本土、香港、マカオ、台湾、マレーシア、シンガポールなどでも通用します。
②北京語
北京語は標準語の基準になっていますが、完全に同じものではなく北京市周辺の方言です。
③広東語
広東省、香港・マカオで使われている方言で、英語ではカントニーズ(Cantonese)と呼ばれています。中国では「粤語」や「広州語」とも呼ばれていて、中国の他の地域では通じません。
④台湾華語(閩南語)
台湾華語は台湾全土で通じる標準語です。中国本土では福建省南部の閩南(ミンナン)地域で使用される、閩南語という方言になります。また、マレーシア、シンガポールなどの華僑の間でも使われています。
まとめ
いかがでしたか?中国語には2つの書き言葉があり、話し言葉は標準語(普通話)と北京語/広東語/台湾華語(閩南語)、この他にも多くの地域で方言が今も使われています。そして、中国の都市部では教育、メディア、人の流動などの影響でほとんどの人が、標準語と方言を使い分けています。